2015年7月24日

成人気管支拡張症の管理 その2

Management of bronchiectasis in adults.
Chalmers JD, Aliberti S, Blasi F.
Eur Respir J. 2015 May;45(5):1446-62.

(その1から続き)

その2

かわうそ:さて、次は治療についてです。治療としてエビデンスがしっかり確立しているといえるのは、まずは理学療法です。効果は限定されますが、安全でまあ有効ということです。ここで久しぶりにAcapella®っていう名前を見ました。これはどんなものでしたっけ?

かば:もともとは採痰用の器具です。震えさせて痰を出しやすくするらしいです。前働いていた病院でベンチャー企業の人がきて説明受けました。スタディとかあったんでしたっけ?学会とかでも見たことないんですが、ここに載っているってことはエビデンスとかあるんでしょうか?

かわうそ:ちょっと興味ありますね。研究ネタにいいかもですね。
次の段落は、inhaled hyperosmolar agents and mucolyticsについてです。気道クリアランスのため、高張食塩水とか去痰剤なんかを吸入するわけです。あと、ドライパウダーマンニトール、っていうのも海外では使われているみたいです。ドライパウダーって書いてあるので、パルミコートみたいに吸うんでしょうか?ただ、臨床試験では効果はいまいちみたいですね。さっきも言いましたが、やっぱりこういうトライアルって、数を集めるためにあんまり効果がでなさそうな人も入れちゃうような気がしません?

かば:MACの人とかの咳とか痰とかの訴えを診てる経験からすると、何かやってよくなったようにみえても症状が少し残ってるって言われ続けることが多いように思います。症状になかなか満足していただけないというか。

かわうそ:ある疾患になりやすい性格っていうのは、やっぱりあるんでしょうね。
次は経口の抗生剤と抗炎症剤についてです。マクロライドのトライアルが表になっています。大きな、って言っても100人くらいの試験です。けっこうがっつり飲んでます。AZM500mg週3回とか。耐性菌、心血管系副作用、消化管症状に注意ですね。ただ、マクロライドはやっぱり効果あるみたいです。

かば:エリスロマイシン400mgくらいならあんまり副作用でやめることないですよね。

きりん:ずっと飲んでる方多いですよね。

かば:ドライシロップであまいんで、糖尿とか心配になりません?

きりん:薬局によりますけど、処方箋に書いておけば錠剤に変えてくれるところもありますよ。錠剤は相当大きいですけど。基質減らしたり出来ないんでしょうかね。

かわうそ:それいいですね。エリスロシンDSは子供用なんでちょっと抵抗ありますね。
次はICSですね。ICSは一定の評価を得ているようです。肺炎が増えないか、という懸念はやっぱりありますが。最後に喘息治療みたいな感じで治療ステップの提案がありますが、そこでも中等症以上には推奨とされています。
最後は、吸入抗生剤です。流行りなんでしょうか。全身投与よりは副作用が少ないし、高濃度投与ができるという理論のもと、けっこうたくさん試験されています。アミノグリコシド以外にもアモキシシリンとかシプロキサンとかも使われようとしているんですね。残念ながらネガティブデータが多いみたいですが、やっぱり創薬にはお金が動くからなんでしょうか、かなり精力的に行われていることが、この段落の文章の多さから垣間見ることができました。すいません、このあたりは読み流しています。なにせすぐに臨床に役立つ内容ではないので。
かなりショックなのが、Eradication、つまり、根絶という項目です。緑膿菌が検出されてはだめ、というスタンスです。BTSのガイドラインで緑膿菌根絶のためのユースフルなアルゴリズムを提供している、とあって、ちょっと興味あります。といっても読んでないです、すいません。

かば:嚢胞性線維症があるからなのか、向こうの人は緑膿菌に対して鬼のように厳しいですよね。緑膿菌以外はなんとかなるので、ラスボス的な存在になってるというのもあるかもしれませんが、知り合いのブルガリア人の研究者の業績は、緑膿菌関連のが多かったです。

かわうそ:負け戦になりませんか?いたらしょうがないとおもっていたんですが、ちょっとショック受けました。反省して考えを改めます。
あとは、増悪・手術・合併症についてちょっと書いてあります。

その3に続く