2015年10月29日

たこつぼ心筋症まとめ

Clinical Features and Outcomes of Takotsubo (Stress) Cardiomyopathy.
N Engl J Med. 2015 Sep 3;373(10):929-38.
Templin C1, Ghadri JR, Diekmann J, Napp LC, Bataiosu DR, Jaguszewski M, Cammann VL, Sarcon A, Geyer V, Neumann CA, Seifert B, Hellermann J, Schwyzer M, Eisenhardt K, Jenewein J, Franke J, Katus HA, Burgdorf C, Schunkert H, Moeller C, Thiele H, Bauersachs J, Tschöpe C, Schultheiss HP, Laney CA, Rajan L, Michels G, Pfister R, Ukena C, Böhm M, Erbel R, Cuneo A, Kuck KH, Jacobshagen C, Hasenfuss G, Karakas M, Koenig W, Rottbauer W, Said SM, Braun-Dullaeus RC, Cuculi F, Banning A, Fischer TA, Vasankari T, Airaksinen KE, Fijalkowski M, Rynkiewicz A, Pawlak M, Opolski G, Dworakowski R, MacCarthy P, Kaiser C, Osswald S, Galiuto L, Crea F, Dichtl W, Franz WM, Empen K, Felix SB, Delmas C, Lairez O, Erne P, Bax JJ, Ford I, Ruschitzka F, Prasad A, Lüscher TF.

2015年9月15日

きりん:NEJMのタコツボ心筋症の報告です。

かわうそ:これは題名見て興味ひかれてた論文です。でも、循環器科の素養に乏しいので敬遠してました。助かります。

きりん:タコツボ心筋症は、1990年から知られた疾患なのですが、その自然経過、管理、そしてアウトカムなどはまだよくわかっていないらしいです。というわけで、ヨーロッパとアメリカの26もの施設の協力を得て、たこつぼ心筋症の研究をしようじゃないか、というのの報告です。インターナショナルたこつぼレジストリーというかっこいい名前の(?)コホートがあるんです。

かわうそ:名前がいいですね。タコツボってのがやっぱりいい味出してますよね。

きりん:1750人の患者を集めていますね。それと、急性冠動脈疾患(ACS)の患者で、年齢・性別を合わせたコホートと比較しています。
たこつぼ心筋症の診断の仕方が書いてあります。まず、1つの冠動脈の灌流領域では説明できないような左室の壁運動の異常があります。もちろん冠動脈の閉塞だったりプラークの破綻だったりが、アンギオで証明されません。新たな心電図の異常やトロポニン上昇は、ACSと同じようにあります。褐色細胞腫や心筋炎がないのが前提です。
ちょっとややこしいのが、これらの基準の例外として、冠動脈疾患が併存してもよい、というのがあるみたいです。その場合、1つの冠動脈の灌流領域で説明のつく壁運動異常はあるんでしょうが、それ以外の壁運動異常は、たこつぼ心筋症の存在を考えないと説明できない、ということなのだと理解しています。実際、あとでも出てきますが、たこつぼ心筋症の1割くらいでは冠動脈の異常があったとされているみたいなんです。

かわうそ:たまたま合併したということなんでしょうかね。

きりん:Figure 1がフローチャートです。1998年から2014年の間に、たこつぼ心筋症と診断された1750人が、30日後と、あとロングタームのアウトカムということで10年後まで(!)カプランマイヤーの解析に回されています。Matched cohortは、先ほどいったようにACSの455人と、それに合う455人が選ばれています。あと、この1750人もいろいろ除外されていますね。30日から先のフォローアップの情報がなかったり、処方の記録がはっきりしないとか、退院後の情報がないとか。
これは心筋梗塞なんかの研究でもよく使われているみたいですが、アウトカムは「major adverse cardiac and cerebrovascular events」ということで、たこつぼ心筋症の再発、心筋梗塞の発症、脳梗塞、一過性虚血発作、全死亡などを含んだイベントです。
この論文の言いたいことは、おそらくほとんどこのTable 1に凝縮されているんだと思います。ACSのmatched cohortと比較すると、たこつぼ心筋症は、胸痛の訴えは少なくて(73.5%対89.6%)、呼吸困難の訴えが多かった(47.4%対35.3%)ということになっています。この人達がすごく言いたかったことは、左室の駆出率が低く(40.7%対51.5%)、左室のend diastolic pressureが高目になっている(22.1%対20.1%)ということだと思います。本文にも、EFが落ちている人がたこつぼ心筋症の8割以上で見られていて、その平均値が40%だということが書いてあります。一方、ACSだと5割位の人でしかEFが落ちていないということになります。
合併症については、たこつぼ心筋症の人でも、2割位で冠動脈疾患がありました。ACSでは当然100%です。続いて、Neurologic or psychiatric disorderですが、やっぱりこういう疾患を持っている人は、たこつぼ心筋症の方が多いですね。あと、いずれも急性期の疾患よりも、過去または慢性期の疾患を持っている方が、たこつぼ心筋症に罹患しやすいみたいです。

かわうそ:この項目だけ、たこつぼ心筋症のTotal cohortとMatched cohortでえらい差がありますね…。どうなってるんでしょう?
あと、NeurologicとPsychiatricを一緒の項目で論じたりすることもあるんですね。ちょっと違和感ありますけど。

かば:Neurologicは脳血管障害との関係で、Psychiatricの方はストレスとの関係ですかね。

きりん:心臓と脳の神経系の関係があるようなことがどこかに書いてありました。
タコツボ心筋症ではカテコラミンの過剰が原因のようなので、頭の病気との関係がいわれています。頭の手術とかクモ膜下出血後ですごくストレスがかかるときの発症が有名ですよね。

かば:そういえば、これは国試ででますよね。

きりん:Psychiatricに隠れていますが、Neurologicもけっこう重要な因子だということが今回の研究ではっきりした、ということでしょうか。やっぱり原因不明っていうのもある程度ありますが。あと、そうはいうものの精神的なトリガーより身体的なトリガーの方がきっかけとしては多いんです(27.7%対36.0%)。
アウトカムについては、ショック状態や死亡については両群で差がないみたいです。
とにかく、患者背景がこのように違うこと、EFがたこつぼ心筋症で重症の人が多いということがわかった、ということが、この研究で言いたかったことのほとんどだと思います。

かわうそ:なるほどねぇ。

きりん:Fig 2は分類の図です。よく見るApical Typeの他、Midveentricular TypeとかBasal Typeとか、Focal Typeとかあります。全然知りませんでした。Focal typeとか、心室瘤とどう違うんでしょうか。エコーで見分けられるのか不安ですが、8割はApical typeなので安心です。
Fig 3はLong term outcomeのカプランマイヤー曲線です。さっきも触れたmajor adverse cardiac and cerebrovascular eventsについてですが、なんと10年経つと5割位でイベントが起きているようです。死亡でみても2割くらいで起きています。たこつぼ心筋症のアウトカムは軽視されがちですけど、ACSと同じくらい慎重に考えるべきなんだと筆者は訴えています。たこつぼだからってなめないでよ、ってことでしょう。
あと、1年後の生存でみると、ACEIとかARBを使うと改善されています。βブロッカーでは、そうではなかったようです。

かば:たこつぼ心筋症は、戻れば心不全にならないからβブロッカーはいらないってことなのかもしれないですね。

きりん:βブロッカーで再発は抑制されるのですが、予後は証明できなかったようです。

かば:10年なら差が出ても、1年では差はでないかもしれないですね。やっぱりたこつぼ心筋症は、最初にすごく心機能が落ちて、そこで死亡なんかもあるかもしれませんが、そこを乗り切ればあとは割りと予後がいい気がします。
あと、普通のACSのカプランマイヤーを横に並べて欲しいですけどね。それと比較しないと、たこつぼ心筋症の怖さがわかりにくいです。
あと、これだけの大規模研究の結果を、独り占めした感がちょっとずるいですよね。横断と縦断と比較で出せません?サブグループ解析もありますし。NEJMだから仕方ないかもしれないですけど。

かわうそ:ずらずらっと人の名前がならんでますけど、日本人いないですね。

きりん:たこつぼレジストリーっていう名前なんですけど、ヨーロッパです。オーストリア、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランド、スイス、イギリスそしてアメリカです。

かば:けっこうたこつぼ心筋症って経験しますよね。喘息発作に合併したり、術後に発症したりとか。

かわうそ:診断は心カテが必要ってことですよね。エコーでたこつぼ心筋症と診断できても。

かば:エコーだけでは診断できないと高らかに宣言されています。あと、冠動脈疾患の合併もありますからね。

きりん:というわけでタコツボの疫学でした。

かば・かわうそ:ありがとうございました。


2015年10月26日

なつかしき「友人」との再会 その3

CASE RECORDS of the MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL.
Case 27-2015. A 78-Year-Old Man with Hypercalcemia and Renal Failure.
N Engl J Med. 2015 Aug 27;373(9):864-73.
Powe NR, Peterson PG, Mark EJ.

2015年9月9日

その3

その2からつづき

かわうそ:肉芽腫性疾患でなぜカルシウムが上昇するのかということも書いてあります。
肉芽腫の中のマクロファージが1,25-dihydroxyvitamin Dを腎外産生するので、骨吸収と腸管でのカルシウム吸収が促進されます。25-hydroxyvitamin Dが活性化されたものが1,25-dihydroxyvitamin Dです。普通は腎臓で活性化されます。今回のケースでは、25-hydroxyvitamin Dは正常でしたが、1,25-dihydroxyvitamin Dを測定していれば有用だったかも、とコメントされています。MGHケースカンファレンスはいろいろ勉強になりますね。

きりん:なつかしいですね。

ベンガルトラ:かばさん、これ内科専門医試験に出るよ!

かば:まじですか。たしかに過去問でいつも戸惑うところです…。

かわうそ:先生のお役に立てればうれしいですけど。
入院時の検査で、これだけの鑑別診断を考えて、検査を出しているというところがすごいですね。ま、入院時と言っているだけで、実は翌日上級医に怒られながらだしたのかもしれませんけど。
最後に、縦隔リンパ節生検で診断がついています。また病理所見を述べてもらいたかったのですが、残念ながら写真にやたらGというマークがついています。これはさすがにゴルゴ13ではなくて、Granuloma、肉芽腫のGですよね。融合傾向のある非乾酪性肉芽腫です。最近はあまり非乾酪性肉芽腫という単語は流行らないみたいです。
さて、治療はどうしましょうか。ちなみに、結核については、除外するため抗酸菌培養を行い、陰性が確認されるまではリファンピシンとイソニアジドでけっこうしっかり加療されたようです。さらに、潜在性肺結核としてイソニアジドだけで治療しました。

かば:サルコイドーシスでステロイドを使うから結核の治療もしっかりしたんでしょうね。

かわうそ:なるほど。確かにそうですね。気づきませんでした。ありがとうございます。
で、ステロイド投与で腎機能はよくなりました。さらに、どうも認知機能も改善したようです。ということで、脳サルコイドーシスがあったのでは?と考察されています。よかったですね。喜ばしいですね。

ベンガルトラ:高Ca血症の意識障害ではなくて?

かわうそ:うーん。ただ、今回高Ca血症を認めるずっと前から認知症を指摘されてドネペジルとかを内服されていたわけなので、やっぱり脳サルコイドーシスなんでしょう。

ベンガルトラ:なるほど。ちなみに、PETの所見だけど、サルコイドーシスって縦隔だけでなく、肺野にも淡い取り込みがあって、それで診断がつくってことがありますけど。このケースでは言及されてないですね。
あとからみてみると、胸部CTでの葉間の小粒状影がサルコイドーシスを示唆しますね。
それにしても、この症例は教育的ですね。

かわうそ:私は知らないことばかりで逆に笑っちゃいました。

きりん:普段使わない知識はどんどん忘れちゃいますよね。

かわうそ:症例的にも面白かったのですが、私にはDr. Eugene J Markに再会できたところがさらにポイント高いところですね。もうワンポイント、前みたいに剖検対象の家族が乗り込んできて感謝の言葉を述べたり、何回かの記念のカンファレンスで出資者(?)がコメントしたりとかがあるともっとよいんですけど。
でも、この前読んだのは、患者本人も出席していてコメントしていました。今度紹介しますね。


2015年10月19日

なつかしき「友人」との再会 その2

CASE RECORDS of the MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL.
Case 27-2015. A 78-Year-Old Man with Hypercalcemia and Renal Failure.
N Engl J Med. 2015 Aug 27;373(9):864-73.
Powe NR, Peterson PG, Mark EJ.

2015年9月9日

その2

その1からつづき

かわうそ:さて、どんなものに注目して鑑別診断を考えていきますか?

ベンガルトラ:高Ca血症を来す疾患かな。

かわうそ:そうですね。まず、高Ca血症をきたす原因にどういうものがあるか、ということで鑑別疾患を上げていこうということです。さっきすでにPTH、パラサイロイドホルモンが話題になっていましたね。高Ca血症の場合、まずはPTHがあがるもの、あがらないものにわけて考えましょう。
今回はPTHは正常なので、上がらない疾患だけ考えればよいと思うんですが、ここではけっこうなスペースを取って、PTHが上昇する疾患についても網羅されています。家族性とか慢性腎不全とか。
では、PTHが上昇しない高Ca血症には、どんなものがあるかご存じですか?

かば・きりん:…。

かわうそ:…。私もさっぱりわかりませんでした。
まず、悪性疾患ですね。骨髄腫とかは鑑別にあげたいですし、普通の固形がんでも骨転移とかがあればCaは上がります。あと、呼吸器ではけっこう有名なんですが…。

きりん:サルコイドーシスです。

かわうそ:そうなんです。サルコイドーシスで高Ca血症があるのは有名ですよね。

かば:そういえば、サルコイドーシス疑いではCaを測りますね。

かわうそ:実は、採血検査でACEが上昇しているというのがあります。これを見てしまうと、みなさんなら一発で診断に至りますよ。
内服薬も要注意です。ビタミンとか、サイアザイド利尿薬は高Caをきたします。あと甲状腺疾患もチェックしろとのことです。これは正常でした。
あと、肉芽腫性疾患ということで、結核です。

かば:そういえば、ツベルクリン反応の陽転化がありましたね。すごい、つながっているんですね。…でも、サルコイドーシスではツ反は陰転化しますよね…。

かわうそ:そうですね。ちょっと解説ほしいところですけど、スルーされています…。
もう一つ、腎不全でも鑑別疾患をあげていきましょう。
腎不全の場合、腎前性、腎性、腎後性にわけてホニャララと、親切なことにここでもかなりスペースを取っています。尿中のNaでわけるんだ、とか。でも、なにせ腎生検をしていて、間質に肉芽腫様病変があるということがわかってしまっていますので、腎性ですよね。

かば・きりん:はははっ。

かわうそ:この2つを来す疾患に何があるかということを考えると、残るのは悪性疾患か肉芽腫性疾患です。今の段階ではどちらがより可能性が高いと思われますか。

かば:腎生検の結果からすると肉芽腫性疾患です。

きりん:あと、経過の長さからすると悪性疾患は可能性が下がるように思います。

かば:縦隔リンパ節腫大が2年前からあるんでしたね。

かわうそ:そのとおりです。

ベンガルトラ:PSAが上がってるのは?

かわうそ:えっ。ほんとですね。…、前立腺肥大があるのでスルーしていました。たしかに、経過のゆっくりとした前立腺癌などの悪性疾患は除外しきれないかもしれません。年齢や性別などの患者背景からすると、ちょっと合わない、癌の方が考えやすいという記載もあります。やっぱりサルコイドーシスなら、もうちょい若い女性の疾患という印象がありますね。また、腎生検の結果についても、リンパ腫ならこういう病理所見を取りうるようです。固形癌でも膜性腎症とかparaneoplastic glomerulopathiesというのがありうるとかいうことが考察されていました。
腎サルコイドーシスっていうのは、けっこう珍しいらしくて、サルコイドーシスの中でも1-2%だけ症状が出るようです。でも、剖検すると、サルコイドーシスの方の5割位には腎臓に病変があるようです。

きりん:ふーん。

かば:ベンスジョーンズ蛋白が出ていることについてはどうなんですか?

かわうそ:するどいですね。実は、最後の方まで多発性骨髄腫は疑って精査が続けられています。血液疾患は苦手なので、詳細は説明できないんですが、結論としては、7%の形質細胞というのは多発性骨髄腫の基準を満たさない、ということのようです。MGUSになります。

かば:サルコイドーシスとMGUSの合併ということですね。

その3へつづく


2015年10月14日

なつかしき「友人」との再会 その1

CASE RECORDS of the MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL.
Case 27-2015. A 78-Year-Old Man with Hypercalcemia and Renal Failure.
N Engl J Med. 2015 Aug 27;373(9):864-73.
Powe NR, Peterson PG, Mark EJ.

2015年9月9日

その1

かわうそ:今回もMGHのケースカンファレンスです。
78歳男性の高カルシウム血症と腎不全です。経過がけっこう長いので嫌にならずについてきて下さい。4ヶ月前から始まっています。倦怠感、呼吸困難、咳嗽、肋骨痛、脇腹の痛み、そして1回だけ血尿がありました。この時入院になっています。vitalとかで特に問題があるようなものがないので、どうしてこの時入院になったのかよくわかりませんね。Fig 1には、この時撮ったCTと、次の本格的な入院の時、その2ヶ月後のPETの写真が載っています。重要なのは、この半年でほぼ変わりがないという点です。じゃ、読影してもらいましょうか。もう矢印ついてて異常わかっちゃってますけど。

かば:胸膜に結節影みたいなのがくっついてますね。ちょっと歪で、悪性腫瘍とかではなさそうですね。

かわうそ:しかも、このあと自然に消えてしまうみたいです。

きりん:あら。

かば:Cでは、小葉間隔壁の肥厚みたいなのがありますかね。

かわうそ:葉間がちょと怪しいですね。あと、葉間に沿って粒状影みたいなのありますよね。
Bでは肺門縦隔のリンパ節腫脹がありますね。内部に石灰化あります。DはPET-CTです。

きりん:ちょっとわかりにくいですけど、となりと同じくらいのスライスですか?ということは、縦隔リンパ節が光っているという理解でいいんでしょうか。

かわうそ:そのとおりです。気管前と大動脈周囲のリンパ節でしょう。
あと、心臓がよくないみたいで、弁置換術を受けたという既往があります。だからなのかなんなのか、冠動脈の石灰化が目立ちますし、両側胸水とそれによるpassive atelectasisが少しありそうです。
この入院時の所見は対症療法のみで軽快しており、外来フォローで退院になりました。
ところが、4ヶ月後に症状悪化で再入院になりました。倦怠感が強いようです。
ここから、既往・生活歴・家族歴が書いてあります。あんまりパッとしたものはありません。高血圧、高脂血症、前立腺肥大、認知機能低下がある。舞踏様(?)の変な動きがると。あとは弁置換術と大動脈瘤。6年前ツベルクリン反応が陽転化しています。薬はけっこうたくさん飲んでいます。セロクエルだとかドネペジルだとかSSRIだとか下剤だとかビタミンだとか。あとは過去喫煙くらいですかね。

かば:縦隔のリンパ節腫大は、2年前の弁置換術の時と変わっていないみたいですね。

かわうそ:そうなんです。長期間変わっていないというのは鑑別診断あげるときに思い出してください。
身体所見も大したものありません。いろいろ書いてありますが、目立つのは徐脈と心雑音くらいです。
次のページの血液検査は見ないようにして下さい。優秀な先生方なら答えがわかってしまうと思いますので、私が異常所見を述べたいと思います。ちょっと貧血(Hb=10)、白血球は4000くらいで正常、分画も特に問題なしです。電解質はカルシウムが上昇している(14.9mg/dl)以外は問題ないのですが、腎機能は異常です。これが今回の入院の理由ですね。Cre=5.26mg/dl、BUN=77mg/dlに上昇しています。腎機能障害と血尿が関係ありそうですね。

きりん:わー。

かわうそ:CRPはちょっと書いていないですが、赤沈が亢進(56mm/h)しています。
肝機能障害も微妙にあるようです。

かば:カリウムとかは上がっていないんですね。

かわうそ:そうですね。4台後半で正常上限くらいです。
ひょっとしたら倦怠感などは、高Ca血症や腎機能障害の影響かも、ということになります。よく聞いてみると、体重減少、食欲不振、便秘などもあります。過去3ヶ月で4.5kgというからなかなか大変ですね。

かば:前の入院の時は腎機能障害はないのですか?

かわうそ:それが、書いていないんですよ。だから多分ないのでしょう。腎機能障害については、けっこう急激に来たものだと思います。
さて治療ですが、まず高Ca血症の治療って聞かれてすぐに思い浮かびますか?

かば:まず生食の補液します。

かわうそ:そうですね。他には?

きりん:エルシトニンです。

かわうそ:さすがですね。あと、フロセミドで排出したり、ビスフォスフォネート使ったりしますよね。ここでもそういう治療をやっています。
この段階で、何かほしい検査ありますか?鑑別のために。

きりん:尿中のカルシウムです。

かわうそ:そうですね。でも、ここでは取っていませんね…。

かば:骨のレントゲンです。

かわうそ:それは記載あります。打ち抜き像みたいなものがあったと書いてあります。頭蓋や下顎骨です。そこの生検で形質細胞が増えているという所見(7%)でした。

きりん:あと、PTHとかですかね。

かわうそ:どんどんでてきますね。みなさんさすがです。
PTHは正常だったようです。このあたり、さすがにMGHの先生はレベル高いなと感心するのですが、入院時の採血ですでに鑑別診断で必要とされるような項目は網羅されているんですよね。

かば:蛋白とかアルブミンとかは?

かわうそ:血清アルブミンは書いていません。尿中蛋白ではベンスジョーンズ蛋白が検出されていますね。また、イムノグロブリンについては、IgMが少し上昇していることがわかりました。
あとは、腎機能障害で血尿も出ているということから、当然腎生検は検討したいところです。次のページにもう顕微鏡写真が出ています。
ちなみに、この病理のコメントをしているのは、Eugene J. Mark先生です。実は私が学生のころ、MGHケースカンファレンスの抄読会に参加している時から知ってますね。なつかしい名前です。なんでおぼえているかというと、一緒に読んでいた先生が、いつもこの人が出てくるたびに、「友人(Eugene)ていう名前のくせに言うことが厳しい」とオヤジギャグをとばしていたからなんです。そのころはしょーもな、とか思って流していましたけど、もう10年くらい経って改めて思い出してみると、意外によさがわかってきますね。歳をとりました。Dr. Nancy Lee Harrisも前にでてきましたけど、この二人は私たち勉強会メンバーにとってはスターでしたよ。

きりん:ふふっ。そういうの意外に忘れないですよね。

かわうそ:すいません。脱線しました。
さて、この腎病理をどう読みますか?

きりん:尿細管のあたりの間質のところに、リンパ球なのか炎症細胞がたくさんあるように思います。

かわうそ:えっ?わかるんですか?すごいですね。正解です。

かば:よくわかるね。糸球体がないことしかわかりませんでした。

かわうそ:実はこのDの*のあたりがいちおう糸球体の硬化した病変になるようです。
つぶれてるのでわかりにくいんです。
A-Cは、きりんさんのおっしゃるとおりです。尿細管の間質のところにリンパ球を中心とした炎症細胞の浸潤があり、尿細管を壊しています。
さらにCの所見は、この単語がでてしまったら診断に辿り着く人がでてきてしまうんじゃないかとまで思ってしまうような決定的なものです。
granulomatousまたはpoorly formed granulomasと表現するような病変Dr. Eugene J Markが言っています。肉芽腫様ということでしょう。

その2へつづく


2015年10月10日

雲の中の急変 その3

In-Flight Medical Emergencies during Commercial Travel.
N Engl J Med. 2015 Sep 3;373(10):939-45.
Nable JV, Tupe CL, Gehle BD, Brady WJ.

2015年9月16日

その3

その2から続き

かわうそ:呼吸困難もあります。1割位と報告されているようです。COPDよりも肺高血圧症の方がシビアな低酸素を起こしやすいので要注意です。酸素投与、高度を下げる、SABA吸入くらいしかやりようがありません。
気胸も報告されていますが、トロッカーキットが入っているわけではないので、できるものでやってくださいとあります。留置針とシリンジで脱気するってことでしょうか。よく英文の意味がわからないんですけど、Non medical equipmentを使えと書いてあるんです。

かば:酸素チューブとか尿道カテーテルにハンガーの針金をスタイレットのように入れて使うという話を聞いたことあります。

かわうそ:マンガとかではボールペンも使いますよね。芯が内筒役ですよね。

きりん:ひゃー。

かわうそ:ただですよ、聴診と打診で気胸を診断できます?レントゲンもエコーもないですから、機内のしょぼい聴診器でできますかね?

かば:聞こえないらしいですよ。
この場合、気胸なのか肺梗塞なのかを迷うと思いますけど、挿管と脱気を両方ともするのが正解という話を聞いたことあります。

きりん:ええー。それって挿管して強制換気して、緊張性気胸を作った上で脱気するってことですよね…。しかも手製のトロッカーで…。

かば:さらに、ウォーターシールももペットボトルで作るらしいですよ。

きりん:私なら、もし居合わせても、「高度を下げて下さい…」としか言えないです。

かわうそ:あ、あとけっこう大事なことが一番初めの方に書いてありました。まず、通訳を探せと。

きりん:ふふっ。それは大切ですね。

かわうそ:たぶんCAさんがやってくれるんでしょうけど。ただ、プライバシーとか守秘義務とかのことがあるので注意だそうです。
次に、伝染病についてです。とりあえず疑ったら隔離です。機内のどこにそんなスペースがあるのでしょうか?かなり心細いんですけど。まあ、せめて接触感染、飛沫感染で広がらないように注意して下さい。地上のスタッフと協議して、対応を相談しましょう。場合によっては検疫が必要になるかもしれません。
最後に、Psychiatric emergencyについてです。頻度は5%以下です。空港も機内でもありとあらゆることが精神的な負荷をかけてくるので、例えば怒り出す乗客なんかがけっこういるようです。鎮静薬はないので、とりあえず自分の身を守ることを第一に考えてくださいとのことです。
結論としては、けっこうな頻度でよばれる可能性があるということ、でも、できることは非常に限られているということ、その割にはしっかりと責任問題が発生するということ、でしょうか。

かば:おそろしいですね。日本だと、こういう時に医療者を守る法律がないので、不幸な結果になった場合に訴えられるリスクはやはりありますよね。どこの国籍の飛行機かっていうのが重要かもしれません。

かわうそ:医療者側に過失がない、よくがんばったと言われても、裁判に巻き込まれるだけでストレスですからね。手を挙げないのも仕方ないですね。
ただ、自分はこれを読んで、結局やれることがこれくらいしかないのなら、けっこう気楽に手を挙げられるかも、と思っちゃいましたけどね。だれがやってもあんまりかわらなくないですか?

かば:内科医なので、外傷がなかなか対応できないのがネックですけど。
エピネフリン2種類ありますけど(千倍希釈と万倍希釈)、これどう違うんでしたっけ?
あと、抗ヒスタミン剤がけっこう手厚いので、アレルギーも多いのかもしれないですね。
でも、生食がなくなったらどうしましょう?何パックあるのか気になりますね。

かわうそ:いろいろ考えるとますます動けなくなりますね…。
とにかくお気をつけて行ってきて下さい。


2015年10月7日

雲の中の急変 その2

In-Flight Medical Emergencies during Commercial Travel.
N Engl J Med. 2015 Sep 3;373(10):939-45.
Nable JV, Tupe CL, Gehle BD, Brady WJ.

2015年9月16日

その2

その1から続き

かわうそ:ここからは、機内の急変にはどんな疾患がありうるのか、それにどう対応すべきかについて各論です。
まずは心停止です。ありそうですけど、0.3%くらいと言われていますので、あんまり巡りあうことはなさそうです。9割位の死亡率とのことでシビアですね。やれることも限られています。救急のABCとAEDくらいです。ふだんの蘇生処置と同じように、20~30分で反応がなければ死亡宣告を考えて下さい。ただ、よく考えてみたら先ほどの救急セットに心電図とかモニターとかが入っていないのでけっこう大変だなって思いますね。
次は急性冠症候群、ACSです。8%くらいらしいです。症状としては、失神、Presyncopyだとか呼吸困難だとかたまには心停止だとかで発見されます。手に入る情報は非常に少ないので、病歴、既往、主訴、身体所見で診断しなければなりません。

かば:無理です。

かわうそ:まあまあ。喰い気味のツッコミありがとうございます。診断も無理ですが、治療も無理っぽいんですよ。まずはアスピリンです。ただ、アレルギーだとか出血だとかがもしあったらと思うと…。院内でするほど安易には出せませんね。あと、ニトロがあります。ただ、もし右室梗塞の場合だと、血圧下がってショックになるのでニトロ禁忌とあります…。

かば:ありがたいことに、「機内では診断できない」とはっきり書いてありますので、これはさすがに免責されますよね?

かわうそ:そうだと信じていますけど…。あとできることといえば、酸素投与です。虚血した組織に少しでも酸素をあげましょう。ただ、これも機内にある量が限られているので、シビアに流量を調節して下さい。一番いいのは飛行高度を下げることのようです。機長に頼んでみましょう。あとは、目的地変更について機長と相談です。
次は、Stroke、脳卒中です。これも大変ですよね。症状が様々ですし、神経学的所見がとれればいいですが、機内でそういう場所があるかどうか。そういえば、ハンマーが入ってないです。ライトはあるかもしれませんが。
治療をどうするかも大問題です。まずは酸素投与と飛行高度を下げることです。組織障害を抑えるためにはこれくらいしかありません。薬としては、先ほどのセットを見なおしてみると…。しめしめアスピリンがありますよ。これを使ってみちゃいましょう、とよろこんで飛びつくなと書いてあります。禁忌です。よく考えたら当然ですよね。梗塞なのか出血なのかわかりませんから。
私はこの情報けっこう身にしみました。この限られた医療資源の中で、何かできることは、と想像した時に、自分ならけっこうすぐに飛びついていましたので。
あと、低血糖は鑑別にあがります。ただし、ここでも問題が…。何とキットの中に血糖測定器が入っていないんですよ。_| ̄|○

かば:低血糖があろうとなかろうと、ブドウ糖をのませてあげてもいいんじゃないですか?

かわうそ:そのとおりですけど、ここでは別の提案がされています。乗客にきっと糖尿病患者がいますので、それを探しだして使わせてもらおうというわけです。CAさんに聞いてもらいましょう。「お客様の中で糖尿病の方はいらっしゃいませんか?」って。

かば:ひどい(笑)

きりん:自分なら父親のを差し出します。測定器も針もブドウ糖も。

かば:はははっ。

かわうそ:それなら安心ですね。でも、針とかあるし機内に持ち込めるんでしょうか?
ここはすごく実践的でリアルな感じで、とてもいいですね。
次は、意識状態の変化です。5%くらいの発症率らしいです。けいれんとか低血糖とか、非常に多岐にわたる原因が考えられます。代謝性、感染性、脳血管疾患、毒、酔っぱらい、低酸素、外傷などなど、なかなか原因診断に至りませんので対症療法にならざるを得ないということになります。相変わらずできることは限られていまして、酸素投与と血糖測定ぐらいです。
失神は非常に多いです。3-4割みたいです。飛行機の中は乾燥して気圧が低いので脱水状態になりやすいので。まずは脱水として、寝かせて足上げて水分を摂らせるというのが、まずするべき、というか唯一の対応と書いてます。

かば・きりん:はははっ

かわうそ:ここまで読んで思ったんですが、これって必ずしも医者が行かないといけない対応なのかどうかって思いますよね。これくらいなら訓練を受けたCAさんがしても十分対応できそうだなってちょっと思ったりします。
外傷も多いです。これもやれること限られています。冷やして、鎮痛薬をあげて、負荷をかけないようにして挙上しておく、ということです。添え木や包帯はあるはずです。ただし、責任問題を考えると、これは疾患だろうが外傷だろうが同じなんですが、頻繁にアセスメントして、悪化しないかどうかをチェックしろ、ということです。ここでミスると法的な責任問題に発展しかねません。つまり、一度診てしまうと、その後何時間も拘束されるということです。短時間のフライトならいいですが、12時間のフライトで最初の方に呼ばれてしまうと…。

きりん:よし、お酒飲もう!

かわうそ:まあ今回のように学会へ行く飛行機なら、他に医療関係者が乗り合わせているんでしょうから、協力しあってもいいかもしれませんね。
あと、家族とか友達とかと一緒の時の場合、「お前なんで行かないの?」みたいなプレッシャーがあったり、かっこいいとこ見せたいな、とかいう邪念がからんだりして、ちょっと複雑な様相を呈しそうですね。

その3へ続く


2015年10月5日

雲の中の急変 その1

In-Flight Medical Emergencies during Commercial Travel.
N Engl J Med. 2015 Sep 3;373(10):939-45.
Nable JV, Tupe CL, Gehle BD, Brady WJ.


2015年9月16日



その1



かわうそ:お二人の海外学会出張に合わせたかのように、ちょうどタイミングよく飛行機の中でのMedical Emergencyというのが載っていましたので紹介したいと思います。NEJMです。意外ですが、実はけっこうな数が発生しているようなんです。ある報告では604回のフライトにつき1回のMedical emergencyがあるようです。軽度なものも含めると実際はもっと多いかもしれません。また、入院する人が意外に多いんですが、その判断がなかなか難しいですよね。なんといっても緊急着陸させることになるわけなので。それと何より、責任問題や訴訟の恐れがややこしい状況を作り出していますよね。
さて、まず飛行機の中にあるFirst Aid Kit、救急箱を確認しましょう。包帯だとか添え木だとか、AEDが入っているはずです。Table 1にアメリカの航空会社では一般的にはこれくらいあるはずだというセットがまとめてあります。血圧計、聴診器、手袋、エアウェイ、バッグバルブマスク、CPRマスクとあります。でもCPRマスクってなんでしょうね?

かば:心肺蘇生でマウスツーマウスの人工呼吸する時に使うやつ?

かわうそ:そう思いましたけど、でも、それならバッグバルブマスクあればいらなくないですか?

かば:そうですね。よくわからないですね。

かわうそ:あとは、点滴セット、生食500ml、針、シリンジがあります。薬は、鎮痛薬、抗ヒスタミン薬の注射と錠剤、アスピリン、アトロピン、SABA、ブドウ糖、エピネフリン、リドカイン、ニトロとなっています。ちょっと心もとないですね。
SPO2モニターあったらいいのに、とか思いましたが、飛行機の中で測るとあまりに低くてパニクる自信がありますからね。正常が低いんですよね、確か。

かば:だからのせてないんですか?

かわうそ:わからないです。
あと、けっこう心強いのは、地上に相談できる人が常駐しているみたいなんです。機内に乗り合わせたボランティアの医師でも当然利用できますので相談してみて下さい。あとCAさんはこういうことを想定した訓練を受けているようなので、頼りにしましょう。

かば:すごいね。

かわうそ:個人的には一番気になる責任問題なんですけど、やっぱり診察した以上は、ある程度責任を引き受けなければいけません。基本的には、状態が安定して経過観察が必要ないと判断するか、プロフェッショナルに引き継ぐまではきちんと見続けなければなりません。
アメリカでは法的には応召義務みたいなものはないようですが、倫理的な責任感から診察しているようです。ヨーロッパでは法的に診察する義務があるようなので、居合わせた医師は対応しないといけないみたいです。日本ではどうだか書いていないんですが、どうなんでしょう?応召義務っていうのがあるのは知っていますが…。

かば:どうなんですかね。あれは病院とか診療所で働いている時のことであって、飛行機や新幹線の中は関係ないと思っていたんですけど。

かわうそ:倫理的にはあるんでしょうけどね。
で、訴えられるリスクについては、これによるといちおう基準みたいなのがあるようです。1998年のAMMAによると、患者側が対応した医師があまりにひどかったということを立証できれば訴えることができる、とされているようです。あまりにひどいとはどういうことかというと、すごく怠慢だったとか、意図的に悪いことをしたとからしいです。けっこうハードルが高いように思います。でも、一つだけ気になる点があります(・∀・)

きりん:なんですか?

かわうそ:実は、酔っている医師が治療していたというのが立証されればやばいらしいんですよ。怠慢とされて訴えられることがあるみたいです。

かば:なんと!じゃ、酔っていたら行かないほうがいいんですね。

かわうそ:そうですね。ていうか、逆にお酒飲んおくと行かなくていいってことですね。

かば:行かない。飲む。

きりん:ふふっ。

かわうそ:行かないと決めているなら、お酒を飲んでおくというのも自分を守るためにはよい方法かもしれませんよ。
あと、診察したあとは所定の書類に記載して報告しないといけないようなので、これも少し面倒ですね。
このあとは個別の疾患に対してどういう対応すべきかが書いてあります。ただ、結局一番重要なのは、搬送のために目的地変更・緊急着陸をするかどうかの判断ということになります。で、これを判断するのはわれわれボランティアの医師ではなく、あくまで機長です。こちらは患者の容態について把握した上で正確に伝えて、あとは地上の医療スタッフと機長の判断に任せましょう。そうとわかればちょっと気が楽になりませんか?


その2へ続く