The Clinical Value of Deflation Cough in Chronic Coughers With Reflux Symptoms.
Chest. 2016 Jun;149(6):1467-72.
Lavorini F, Chellini E, Bigazzi F, Surrenti E, Fontana GA.
2016年7月29日
かば:Deflation coughってわかります?「肺活量測定の時、息を吐き切った時に誘発される咳のような排出努力」という定義らしいんですけど。
かわうそ:なんとなくわかります。聴診のとき、強制呼気で咳き込むってことですかね。
かば:そういうイメージでいいと思うんですが、定義上は、肺活量測定なので、ゆっくり呼出して肺が空っぽになった時に誘発される咳嗽とのことです。なので、強制呼気とは少し違うのかもしれません。とにかく、胃食道逆流、GERDの症状と考えて良さそうです。
そのDeflation Cough、DCとGERDの関係を調べたのが本研究です。
157人で、DCの評価と24時間食道PHモニタリング、MII-pHをしています。
かわうそ:24時間食道PHモニタリングを157人で!
かば:なのでCHESTに載ったんだと思われます。
157人中、93人では慢性咳嗽もありました。
DCは、肺活量測定を2~4回繰り返して、咳込みを耳で測定したとあります。
結果です。表をみてもらう方がわかりやすいですね。2×2表が載っています。
Acid MII-pH | Normal or Nonacid MII-pH | |
DCあり | 15 | 31 |
DCなし | 15 | 96 |
DCとGERDには関係がありました。P<0.01です。
感度50%、特異度76%、陽性予測率33%、陰性予測率86%ということでしたが、著者はまだ満足していません。
かわうそ:けっこう立派な結果に感じますけど。
かば:そこで、慢性咳嗽のある93人に絞って解析しています。慢性咳嗽についてはVASで評価したとのことです。ちなみに、この中に現喫煙者はいませんでした。
Acid MII-pH | Normal or Nonacid MII-pH | |
DCあり | 15 | 25 |
DCなし | 2 | 51 |
こうすれば、感度88%、特異度67%、陽性予測率38%、陰性予測率はなんと96%ということになりました。
かわうそ:すごいですね!
でも、つまり…、どういうことだってばよ?
かば:つまり、遷延性咳嗽・慢性咳嗽で受診した患者さんで、強制呼気で聴診をしたとしますよね。
かわうそ:うんうん。
かば:その時に、DC、咳込みがなかったとしたら、GERDの可能性が低くなるので、PPIを出さなくてもよいということになると思うんです。
かわうそ:なるほど。
強制呼気時の咳込みって、けっこう喘息に典型的かと思っていましたけど、GERDに関係するんですね。
かば:胸腔内圧が高まることで胃酸逆流につながるんじゃないか、とDiscussionに書いてありました。
この論文は全部で6ページだけで、非常にシンプルですけど美しい結論ですよね。