22歳男性、低血圧とショックで入院です。
まずは問題編です。
CASE RECORDS of the MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL. Case 39-2015. A 22-Year-Old Man with Hypoxemia and Shock.
N Engl J Med. 2015 Dec 17;373(25):2456-66.
Shenoy ES, Lai PS, Shepard JA, Kradin RL.
2016年1月6日
その1
かわうそ:冬の話です。5日前までは元気だったんですけど、頭痛・発熱・悪寒・咳嗽が出現しました。「non productive wet cough」という表現がよくわかりませんけど。
かば:たんがからむけど出てこない、という感じですかね。
かわうそ:なるほど、それっぽいですね。イブプロフェンだとかアセトアミノフェンとかを内服したけどよくならず、翌日、医療機関を受診しています。この時は、微妙に発熱があって、wheezeが聞こえたという記録があります。レントゲンは異常なしです。この時の写真が載っています。
かば:たんがからむけど出てこない、という感じですかね。
かわうそ:なるほど、それっぽいですね。イブプロフェンだとかアセトアミノフェンとかを内服したけどよくならず、翌日、医療機関を受診しています。この時は、微妙に発熱があって、wheezeが聞こえたという記録があります。レントゲンは異常なしです。この時の写真が載っています。
気管支炎だろうってことで、吸入薬とステロイドが出されています。量はわかりませんが、4日分です。
かば:喘鳴があるようなので、喘息に準じた治療ですかね。プレドニン4T✕4日とか。
かわうそ:なるほど。そうかもしれないですね。
一応、吸入薬で自覚症状がよくなったので帰宅になったはずなんですが、24時間以内に、親に連れられてERに戻ってきました。
かば:喘鳴があるようなので、喘息に準じた治療ですかね。プレドニン4T✕4日とか。
かわうそ:なるほど。そうかもしれないですね。
一応、吸入薬で自覚症状がよくなったので帰宅になったはずなんですが、24時間以内に、親に連れられてERに戻ってきました。
このときは、咳、呼吸困難、下痢、発汗、悪心、嘔吐があり、ショック状態です。血圧51、脈拍165、呼吸数55、SPO2が室内気で79%です。呼吸音は両側でraleが聞こえています。心臓は問題ありませんでした。インフルエンザは迅速検査で陰性でした。酸素と補液でショック状態、呼吸不全は一応改善されました(SPO2:89%)。
血液検査では、白血球が900でかなり減っています。さらに分画も変わっていて、好中球が4%に対してリンパ球が50%、異型リンパ球もあります。血小板もかなり減っていて、腎機能も良くないです。
レントゲン写真は、1日でこんなにかわるのか、というくらい変化があります。
かば:びっくりしますね。
かわうそ:両側に浸潤影があります。特に右側がひどいですね。胸水や気胸はなさそうです。
かば:あとから見ると、初日のレントゲンも少し影がありますかね?
かわうそ:うーん…。どうでしょう?
さて、やっぱり呼吸状態がよくないのでBIPAPを始めました。始まった途端、SPO2が100%になって呼吸数も12回に戻り、血圧も上がってきました。とりあえず一安心ということで、薬について考えてみましょう。
さて、ここで先生ならどういう治療を開始しますか?
かば:冬ですので、インフルエンザは迅速検査がnegativeでも治療しておきたいですね。さらに細菌感染を合併したと考えて、抗生剤を投与します。若くて基礎疾患がなくて免疫不全がないものと考えていいんですか?
血液検査では、白血球が900でかなり減っています。さらに分画も変わっていて、好中球が4%に対してリンパ球が50%、異型リンパ球もあります。血小板もかなり減っていて、腎機能も良くないです。
レントゲン写真は、1日でこんなにかわるのか、というくらい変化があります。
かば:びっくりしますね。
かわうそ:両側に浸潤影があります。特に右側がひどいですね。胸水や気胸はなさそうです。
かば:あとから見ると、初日のレントゲンも少し影がありますかね?
かわうそ:うーん…。どうでしょう?
さて、やっぱり呼吸状態がよくないのでBIPAPを始めました。始まった途端、SPO2が100%になって呼吸数も12回に戻り、血圧も上がってきました。とりあえず一安心ということで、薬について考えてみましょう。
さて、ここで先生ならどういう治療を開始しますか?
かば:冬ですので、インフルエンザは迅速検査がnegativeでも治療しておきたいですね。さらに細菌感染を合併したと考えて、抗生剤を投与します。若くて基礎疾患がなくて免疫不全がないものと考えていいんですか?
というわけで、うちの病院にある薬を使うとしたら、MEPM、LVFX、ペラミビルくらいでどうでしょうか。あと、ステロイドも投与するかもしれません。
かわうそ:この人達は、オセルタミビル、PIPC/TAZ、VCM、LVFX、CLDM、mPSLを使いました。
かば:やっぱり片っ端から行ってますね。
かわうそ:でも、実は10分後に呼吸状態悪化してまして、気管内挿管されて中心静脈カテーテルが入っています。
既往歴、生活歴、旅行歴などに触れられていますが、あんまり気になるものはありませんでした。転院後、薬物検査したところカンナビノイドが検出されていますが、これもあまり今回は臨床的意義はないとのことです。
ここからしばらくは、がっつりした治療にもかかわらず、良くならないということがつらつらと書かれています。
かば:状態悪くて、ヘリでMGHに搬送されているんですね。
かわうそ:転院しても、血痰が出てきたりして、やっぱり経過良くないです。
この時点で使われている薬は、ノルエピネフリン、ドブタミン、バソプレッシン、フェンタニル、ミダゾラム、プロポフォール、ベクロニウム、VCM、SFPM、LVFX、ST合剤などです。血小板も輸血しました。
かば:思いつく薬が全部入っていますけどね…。
ウイルス、真菌の薬は入っていませんね。
かわうそ:オセタミビルくらいですね。
さらにECMOなんかも始まっています。レントゲンが何枚か載っています。状態が悪すぎてCTは撮れなかったんでしょうね。1-2日の経過なんですが、さらに悪くなっています。挿管チューブやカテーテルが入っていると、わざわざ説明されています。
さて、ここで鑑別診断ということなんですが…。
かば:うーん…。
かわうそ:この人達は、オセルタミビル、PIPC/TAZ、VCM、LVFX、CLDM、mPSLを使いました。
かば:やっぱり片っ端から行ってますね。
かわうそ:でも、実は10分後に呼吸状態悪化してまして、気管内挿管されて中心静脈カテーテルが入っています。
既往歴、生活歴、旅行歴などに触れられていますが、あんまり気になるものはありませんでした。転院後、薬物検査したところカンナビノイドが検出されていますが、これもあまり今回は臨床的意義はないとのことです。
ここからしばらくは、がっつりした治療にもかかわらず、良くならないということがつらつらと書かれています。
かば:状態悪くて、ヘリでMGHに搬送されているんですね。
かわうそ:転院しても、血痰が出てきたりして、やっぱり経過良くないです。
この時点で使われている薬は、ノルエピネフリン、ドブタミン、バソプレッシン、フェンタニル、ミダゾラム、プロポフォール、ベクロニウム、VCM、SFPM、LVFX、ST合剤などです。血小板も輸血しました。
かば:思いつく薬が全部入っていますけどね…。
ウイルス、真菌の薬は入っていませんね。
かわうそ:オセタミビルくらいですね。
さらにECMOなんかも始まっています。レントゲンが何枚か載っています。状態が悪すぎてCTは撮れなかったんでしょうね。1-2日の経過なんですが、さらに悪くなっています。挿管チューブやカテーテルが入っていると、わざわざ説明されています。
さて、ここで鑑別診断ということなんですが…。
かば:うーん…。