2016年5月23日

話題のがん免疫治療についての文献を読んでみた その1

今回はペンブロリズマブについての論文がLancetに載っていたので読んでみました。
今話題のがん免疫療法です。イントロから方法までです。

Pembrolizumab versus docetaxel for previously treated, PD-L1-positive, advanced non-small-cell lung cancer (KEYNOTE-010): a randomised controlled trial.
Lancet. 2016 Apr 9;387(10027):1540-50.
Herbst RS, Baas P, Kim DW, Felip E, Pérez-Gracia JL, Han JY, Molina J, Kim JH, Arvis CD, Ahn MJ, Majem M, Fidler MJ, de Castro G Jr, Garrido M, Lubiniecki GM, Shentu Y, Im E, Dolled-Filhart M, Garon EB.

2016年5月13日

その1

かわうそ:最近使われるようになったのは、ニボルマブ(オプジーボ)ですが、今回の主役のペンブロリズマブもそれと同じく免疫チェックポイント阻害薬というくくりになるようです。

かば:ググってみると、キートルーダという名前になるらしいですね。海外ではもう認可されているようです。
おっ、特許侵害とかで裁判沙汰になってますよ。


かわうそ:まじですか…。ニボルマブとペンブロリズマブは、直接比較試験はないのに、そんなとこで戦ってるんですね。

とりあえずこれは、進行した非小細胞肺癌で、PD-L1の免疫染色が陽性だった人を集めて行った第2/3相試験です。
ちなみに、ニボルマブの一連の試験はCHECKMATE、ペンブロリズマブはKEYNOTEという名前が付いているようです。
まず基礎知識として、PD-1経路というのが免疫のチェックポイントとして有名なんです。

この分野のしかも機序的なところは勉強不足でして、ほとんどこのイントロでしか情報を得ていないのでうまく説明できないし、正確かどうかも自信ありません。なので、詳しくは成書を参考にしていただきたいのですが、とりあえずまとめてみると、癌細胞にPD-1リガンドが発現していると、T細胞やB細胞のもっているPD-1受容体と結合して、免疫細胞がDown regulationされてしまいます。よって、癌細胞が異物と認識されることがないため、免疫チェックポイントをすり抜けて増殖してしまうというわけなんですね。というわけで、この薬はPD-1受容体に対する抗体ですので、T細胞上のPD-1受容体が癌細胞のもっているリガンド(PD-L1)とくっつくことを邪魔します。結果として、癌細胞が免疫系の攻撃を受けて縮小するというわけです。…、わかりましたか。

かば:…、まあ…。

かわうそ:とにかく話を進めます。大切なのは治療効果ですし。
プラチナダブレットによる化学療法を受けたあとの2nd lineとして使えるように認可されているようです。
ニボルマブとどう違うのかはよくわかりません。この論文の中には書いてありませんでした。

方法にどんな患者を集めたか書いてあります。化学療法を受けたあとの患者さんを集めています。EGFR-TKIやALK阻害薬でもいいみたいですね。
あと、組織検体でPD-L1が1%以上発現していることが確認されていることも参加に必要です。
自己免疫疾患や間質性肺炎は除外基準にひっかかります。ステロイド全身投与も除外基準です。免疫力を頼みにした治療ですので、ステロイドを飲んでいる人は効果が減弱して使いにくいみたいですね。脳転移も除外基準にひっかかりますが、浮腫に対してステロイド使っているからという認識でよいでしょうか。

Fig 1に患者登録の流れが詳しく載っています。2600人スクリーニングした中から、PD-L1染色できたのが2222人、そのうち2/3くらいで陽性でした。けっこう多いです。陰性の人はここで除外されます。50%以上発現している人と、1-49%の発現の人で分けて解析しています。さらに400人位がなんらかの理由で除外されています。脳転移の存在などでしょうか。結局、約1000人が350人弱くらいの3群にわけられています。ペンブロリズマブ2mg/kg、10mg/kg、ドセタキセルの人です。同じようなポピュレーションになるように、いくつかの基準で層別化したうえでランダム化した、と書いてありました。

患者背景が次のテーブルになります。平均年齢60歳くらい、男性6割。人種いろいろいますが、たいてい白人とアジア人ですね。

かば:日本人患者は、著者に日本人が含まれていないのでいないようです。

かわうそ:韓国かも知れません。
喫煙者も多いですね。
組織としては、非扁平上皮癌が7割でだいぶ多いです。

かば:オプジーボは扁平上皮癌がいいと言われていますよね。先に認可されていますし。

かわうそ:そうでしたね。でも、たしかこの薬は扁平上皮癌ではあまり良い結果がでなかったとありました。後で出てきます。

その2へ続く