2015年11月9日

2万5千年の荒野? その4

放射線被曝以外にも問題があります。

Health effects of radiation and other health problems in the aftermath of nuclear accidents, with an emphasis on Fukushima.
Lancet. 2015 Aug 1;386(9992):479-88.
Hasegawa A, Tanigawa K, Ohtsuru A, Yabe H, Maeda M, Shigemura J, Ohira T, Tominaga T, Akashi M, Hirohashi N, Ishikawa T, Kamiya K, Shibuya K, Yamashita S, Chhem RK.

2015年10月21日

その4

その3からつづき

さて、長期の影響については、食事からのセシウムに多くのスペースが割かれています。汚染されたものを流通させないように涙ぐましい努力をされたようですね。
ただ、やっぱりプルトニウムとかウランについてはノーコメントを貫いています…。影響ないってことで検討にも値しないんでしょうか?なんか納得しかねますけど。
さて、ここから先は放射線被曝とは関係ないものの、人々に影響を与えていることについてのお話です。
まずは避難生活についてです。震災以来、170000人が避難生活を送っています。避難3ヵ月以内では、死亡率が3倍、その後も1.5倍という数字が載っています。入院患者や施設入所者はもっと影響が大きいです。
PTSDや鬱、不安障害も問題になっています。筆者の一人が、東京電力の人の精神状態を診る仕事をしているようです。COIも開示されています。で、原発事故後の対応についてかなり批判されていることで、精神的に参ってる従業員がけっこういるとかわざわざ書いてあります。

家族や地域社会の人間関係にも、影響があります。子どもへの被爆を心配して引っ越ししたい妻と、仕事の都合で反対する夫の確執とか、それまで仲良かった隣人でも、保障額の違いでいがみ合ったりする事例が報告されているとのことです。恐ろしいですね。
最後にStigmaについてです。例えば、福島の若い女性が、将来の妊娠や遺伝の影響について心配したりとか、そのため、震災時に福島に住んでいたことを隠さざるをえないような状況もありえるということです。
こういうのは、広島や長崎の被爆者などでも報告されているようです。「夕凪の街 桜の国」というマンガにそういう描写があったと思います。
自分のライフヒストリーを隠さざるを得ないということは、これに伴う悩みなんかも人に話せないということなので、やっぱり傷が深いですよね。悲劇的なことだと思います。

あと、美味しんぼ事件とかいろいろ言いたいこともあるんですけどね。やっぱり私は美味しんぼがけっこう好きなので。とはいえ、今回は長いことお付き合いいただきましたので、この辺で。

ありがとうございました。