CASE RECORDS of the MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL.
Case 3-2016. A 9-Year-Old Girl with Intermittent Abdominal Pain.
N Engl J Med. 2016 Jan 28;374(4):373-82.
Guglietta PM, Moran CJ, Ryan DP, Sagar P, Huck AE.
2016年2月3日
その3
その2からつづき
かわうそ:で、CTが結局決め手になるんです。造影剤の静注と内服をして撮影された画像です。
かば:アメリカでは造影剤を飲ませるんですよね。
かわうそ:らしいですね。で、何が異常なのかわかりますか?
かば:矢印のところに何かありますね。痛いところにあるんですよね?左側腹部ですし。脾臓と同じ濃度ですね。
かわうそ:実はこれは非常に大きな副脾なんです。壊死や石灰化はないようです。
副脾がどのように痛みの原因になるか、というのがこれからの話題になります。
副脾というのは、けっこう多いらしいです。
かば:人間ドックすると、けっこうエコーで発見されていますよ。小さいですけど。
かわうそ:そうなんですか。筆者によると、CTで11%くらいで発見されるらしいです。さらに剖検だと30%で発見されるそうです。発生学的にもできやすくて当たり前、ということが書いてありましたが割愛します。
今回のは非常に大きいですね。普通は2cmくらいだそうですが、この人は4cm以上でした。
痛みの原因としては、血管が細いことと、ひねったりすることで虚血になりやすかったのではなかろうかと考察されています。手術の時の内視鏡写真が載っています。
手術で副脾を取り除いたことで速やかに鎮痛を得ています。
でも、一般的には保存的な治療でよいはずだ、と5年間経過観察していたことについて、なんとか自己保身というか抵抗というか、を試みています。
摘出臓器の病理所見が詳しく載っています。いろいろ免疫染色されています。虚血と代償性の再生血管を証明しようとしているものと思われます。虚血と再開通を相当繰り返していたんでしょう。
かば:前にエコーやっていたと書いていますけど、気が付かなかったんでしょうか?あ、やっぱり参加者からも質問あるみたいですね。
かわうそ:ルーチンにプローベを当てる場所になければ、見つかりにくいんだと思います。
日本なら、もっと早い段階でCT撮影してわかったんでしょうけど…。いろいろ考えさせられますね。
日本なら、もっと早い段階でCT撮影してわかったんでしょうけど…。いろいろ考えさせられますね。