2015年9月17日

最近うわさのREVERT trial その2

Postural modification to the standard Valsalva manoeuvre for emergency treatment of supraventricular tachycardias (REVERT): a randomised controlled trial.
Appelboam A, Reuben A, Mann C, Gagg J, Ewings P, Barton A, Lobban T, Dayer M, Vickery J, Benger J; REVERT trial collaborators.
Lancet. 2015 Aug 24. pii: S0140-6736(15)61485-4.

2015年8月28日

その2

その1から続き

かば:図表に戻ると、Table1がBaselineで、ここは差がありませんね。肺炎、COPD、心疾患など、それなりに基礎疾患あります。Table 2がアウトカムです。Primary outcomeがValsalva法で戻った人、Secondary outcomeが結局アデノシン静注を必要とした人になっています。どちらにしても、Modifiedの方法がよかったようです。その他の成績も軒並みModifiedがよかったと言っています。
ただ、帰宅出来た症例、救急外来滞在時間については差がなかったようです。あと、副作用は有意差がないのですが、人数的には少し多かったようです。Table 2によると脈が増える、心電図異常がある、腰痛がある、頭痛、胸痛、チアノーゼなどがあったみたいです。どれもそれほど重症ではないですね。
あとは心電図の所見について書かれています。
看護師さんに足をどのタイミングであげるのかとかを説明するのが難しいように思いますが、共有できるのなら負担は少ないと思うので、やってみたらいいと思います。

かわうそ:最初にValsalvaさんが記載した方法が、足をあげるやり方なんですか?

かば:ネットで調べたところ、最初は「深呼吸のあと、声帯を閉じたまま息を吐こうとする方法」みたいです。座位より臥位の方がよいとか言われています。

かわうそ:頚動脈洞マッサージっていうのもありませんでした?

かば:あと、眼球マッサージとかもありますね。副交換刺激の方法です。でも、血栓が飛ぶとか、網膜剥離の危険があるので、やりにくいです。
あと、顔を水につけるというのもあるみたいです。

かわうそ:ちなみに、SVTは心電図とったら機械が教えてくれますか?

かば:でないですよ。自分で診断しないといけないです。私も自分で読めない可能性大です(*_*)

かわうそ:でないんですか!?その診断に自信がない人はどうすればよいのでしょうか?

きりん:またまたお二人ともご冗談を…。
でもValsalva手技に副作用がないのであれば、SVTと確信がなくても、Afとかでなければやってみたらよいのではないでしょうか?

かわうそ:なるほど、たしかに。

かば:Lancetっぽくて面白い論文ですね。さっきの動画も、ファーストオーサーっぽい人がすっごい嬉しそうにペラペラペラペラしゃべっています。

きりん:背景がACLSの勉強のビデオと全く同じだなって思ってみていました。我ながらマニアックな見方だと思います。

かば:REVERT trialっていう名前もかっこいいですよね。

かわうそ:なぜREVERTなんですか?Rはどこからきてるんですか?RandomizedのR?

かば:唐突にREVERTって出てきてます。たしかに何の略語かわからないし、ちょっとひどいですね。
でも、この人達はたぶん「REVERT trialによると、Valsalva手技はこうした方がいい!」って言いたいがために、こうやって試験に名前をわざわざ付けたんですよ。

きりん:そうですね。たぶん、こういう豆知識みたいなのが好きな先生が研修医とかに、「REVERT trialって知ってる?」とか言うってるんですよ。

かば:その場面、すっごく想像できます。循環器科は何かかっこいい名前の研究が多い印象ありますよね。

かわうそ:たしかに、かしこい先生はちゃんと試験の名前までおぼえていますよね…。かしこいのかマニアックなのか知りませんけど。
肺癌の試験は、数字の羅列なことがありますからそれよりはいいですね。

かば:こういう昔ながらの治療法を見直すみたいなのはいいですよね。

かわうそ:でも、救急の場で、わざわざめんどくさい同意書を取って研究するっていうのは、なかなかできることではないですよね。すごいです。

かば:やっぱりリサーチナースがいるっていうのが大きい気がします。
あと、SVTは、直接命にかかわらないのが目の付け所がいいとこですよね。

きりん:患者さんも若いですし、理解もよさそうですよね。